吴道子(680年頃 – 759年頃)— 唐代の「画聖」
吴道子(ごどうし、680年頃 – 759年頃)は、別名を道玄といい、中国唐代を代表する著名な画家です。画史において「画聖」として尊称されています。漢族出身で、陽翟(現在の河南省禹州市)の生まれとされています。
生涯
吴道子は約680年(永隆元年)に生まれ、758年(乾元元年)頃に亡くなったとされています。幼少期に両親を失い、貧しい生活を送りましたが、若くしてその画才が広く知られるようになりました。
一時は兗州瑕丘県(現在の山東省滋陽市)の県尉に任じられましたが、間もなく辞職し、洛陽に移り住んで壁画制作に従事します。
開元年間(713年 – 741年)、その卓越した画技が認められて宮廷に召し出され、供奉、内教博士、寧王友といった役職を歴任しました。
また、張旭や賀知章とともに書法を学び、公孫大娘の剣舞を鑑賞する中で、筆遣いの妙技を体得したと伝えられています。
芸術の特色
吴道子は仏教・道教の題材を得意とし、神鬼、人物、山水、動物、草木、建築物など、多岐にわたるジャンルを描きました。特に仏教・道教に関する壁画や人物画に優れ、その表現力の豊かさと独創性から多くの称賛を受けました。
壁画
壁画制作において、彼の作品は力強い筆致と生き生きとした表現で知られ、観る者に深い感銘を与えました。唐代の仏教文化が最盛期を迎える中で、彼の仏教壁画は宗教的な荘厳さと芸術的な美を兼ね備えたものとして高く評価されました。
人物画
人物の表情や動作を鮮やかに捉え、躍動感にあふれる作品が多いのが特徴です。その描写は、当時の人々の精神や文化的背景を豊かに反映しています。
結語
吴道子の作品は、後世の画家や芸術家たちに多大な影響を与え、中国美術史における一つの頂点を築きました。そのため、「画聖」の名に相応しい人物として、中国の芸術界で永遠に語り継がれています。