桂枝桃仁湯(けいしとうにんとう)は、血流を促進し、血の滞り(瘀血)を改善するための漢方薬です。特に月経不順や月経痛、産後の回復に用いられ、血流が滞っていることで生じる痛みや不快感を和らげます。この処方は、温めることで血流を良くし、血瘀(血の滞り)による諸症状を緩和する効果があります。

一、処方の出典

  • 出典:漢代の医書『金匱要略』(著者:張仲景)
  • 地位:血流の滞りを改善する婦人薬として知られています。

二、構成と分量

桂枝桃仁湯は、以下の生薬で構成されています。

  1. 桂枝(けいし)
  • 効能:体を温め、血流を促進する。
  • 役割:冷えによる血行不良を改善し、痛みを緩和します。
  1. 桃仁(とうにん)
  • 効能:血の巡りを良くし、血瘀を解消。
  • 役割:血行不良による痛みやこりを和らげます。
  1. 芍薬(しゃくやく)
  • 効能:筋肉を緩め、血の巡りを良くする。
  • 役割:血流を改善し、筋肉の緊張を和らげます。
  1. 甘草(かんぞう)
  • 効能:他の生薬の働きを調整し、痛みを和らげる。
  • 役割:薬全体のバランスを整え、痛みや不快感を緩和します。
  1. 生姜(しょうきょう)
  • 効能:体を温め、血流を促進。
  • 役割:血行不良を改善し、冷えによる痛みを軽減します。
  1. 大棗(たいそう)
  • 効能:胃腸を補い、体を温める。
  • 役割:体を温め、他の生薬の効果を引き出します。

三、主要な効能

  • 温経活血:体を温めながら血流を促進し、血瘀を取り除きます。
  • 止痛調経:血の滞りによる痛みや月経不順を改善します。

四、主な適応症

桂枝桃仁湯は以下の症状に効果があります:

  1. 月経不順:血流が悪く、生理が遅れる、または生理痛がある場合。
  2. 月経痛:特に冷えが原因で起こる月経時の痛み。
  3. 産後の不調:産後の血の滞りや体の冷えによる不調。
  4. 下腹部の冷えや痛み:冷えや血の滞りが原因の下腹部の痛みやこり。

五、服用方法

  • 煎じ方:生薬を水に浸して煎じ、1日1~2回に分けて服用します。特に月経時の痛みや不調があるときに服用すると効果的です。

六、注意事項

  • 体力が低下している場合には慎重に:桂枝桃仁湯は血流を促進するため、体力が低下している方や出血しやすい方には適さない場合があります。
  • 長期服用は医師に相談:特に月経痛や血行不良が続く場合は、医師や漢方専門家に相談して体質に合わせた服用を調整してください。

七、現代の応用と使用法

桂枝桃仁湯は、現代でも月経痛や月経不順、産後の回復に使用されています。血行を促進して冷えによる痛みやこりを和らげるため、冷えがちな体質の方に向いた処方として支持されています。また、血流の滞りを改善することで体の不調全体を和らげる効果も期待されています。

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